ONKYO SE-80PCI
  S/N比110dBを実現した正統派高音質オーディオボード


 2002年6月、オンキヨーのサウンドデバイスが発表され、WAVIO シリーズに新製品の SE-80PCI が加わった。本品はその名称からも分かるようにPCIバス対応のオーディオボードで、サウンドチップとしてESS Technologyの 『Maestro M3i』 を搭載する。その特長はなんと言ってもオーディオメーカーであるオンキヨーが、音質面をとことん追求している点にある。従来品のSE-120PCI と同様、金メッキ端子を用いアナログ部の回路・配線にかなり気を配った設計になっているのだが、本品にはさらなる対策が施されている。

 その鍵とも成っているのが D/A変換時に発生するノイズを除去する新回路、「VLSC(Vector Linear Shaping Circuitry)」 である。これは D/A コンバータ、つまりは D/A 変換…デジタル信号を耳で聞き取れるアナログ信号に変換する際に利用する回路で、ノイズシェーピング処理などで発生するパルス性ノイズを排除するためのものだ。

 VLSCはもともと同社の最高級AVアンプに搭載されていた技術を応用・発展させたもので、MP3やWMAはもちろん、さまざまなデジタル音楽信号処理に適用可能だ。SE-80PCIではこれを採用した結果、S/N比110dBまでノイズを低減し、飛躍的な音質の向上を図っている。従来、この数値は10万円程度の中級クラスのオーディオデバイスでしか実現できなかったクオリティだが、それを普及価格帯製品で実現しているわけ。

 このチップの場合MIDI音源機能がないため、MIDI演奏するためにはWindows標準のソフトウェアシンセを使用する。またヘッドフォン端子が無いので、ヘッドフォンを多用する場合は外部アンプが必須であるが、外部アンプの多用なキャラクターにより多彩な音が楽しめる。どの道このボードから音を出そうと思えば外部アンプは必須だ。

 MP3やWMAなどの圧縮音声、あるいはDVD-Videoなどの普及に伴い、PCの音質を気にするユーザーはますます増えてきている。そうした中12,500円という手頃な価格でオーディオ機器レベルのサウンド環境を構築できるSE-80PCIは、非常に魅力的な選択肢となる。

 現在の最新版のドライバーでは「Maestro M3i」とは表示されず、「SE-80PCI( WDM) 」と表示される。またVISTA以外の環境では 「Volume Control」 は機能せず、”WAVE”の設定でのみ音量を変更できる。

 さて一番肝心なアナログLINE OUTの出力を実際に聞いてみると、一般的なオンボードサウンドとは明らかに異なる良好な音質であることが分かる。もっとも、このSE-80PCIのハイクオリティな音を十分に味わうためには、これに接続するアンプ、スピーカー、ケーブルなどの品質も重要になってくる。そのため数千円クラスのPC用マルチメディアスピーカーなどでは、こちらがネックになってしまい、ほかのサウンドカードとの差を感じることは難しいかもしれない。つまり、本製品の実力を引き出すためには、それなりの投資が必要になるのだ。


 一番手軽な環境作成方法は、手元にあるミニコンポなどのオーディオ機器に接続することだろう。こうすることで、クオリティを損なわずに再生できるだけでなく、カセットテープなどのアナログ素材をデジタル化する際に、高品質な音質で取り込むことも可能になる。

 実際音を聞くとノイズが少ない事に驚かされる。音が無くなるとオンボードでは"シー"と聞こえるのだがこのボードでは一切無い。完全に無音になり深夜であれば冷却Fanが回る音のみ聴こえる。またどちらかと言うと低音が引っ張りぎみだと言われるのだが、実際は気持ちが良い低音の張り具合である。低音の出るスピーカーやヘッドフォンを組み合わせるからで、素直なモニタータイプの組み合わせだと何の事はない。

SE-80PCI
製品仕様
・サウンドチップ ESS Technology Maestro M3i
・対応スロット PCI
・インターフェイス S/PDIF OUT(光角形)×2、LINE IN×1、LINE OUT×1
・対応OS Windows 2000/Me/XP


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